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企業価値評価(バリュエーション)の方法

マルチプル(類似企業比準方式、類似業種比準方式)
類似企業比準方式(類似企業比較方式)とは?
類似企業比準方式とは、公開会社の中から似た企業を選択して、複数の要素を比較して、批准割合から株価を求める方法です。

倍率をもとに事業価値や株主価値を算定することから、倍率法またはマルチプルとも呼ばれる方法です。 また、市場で同業他社と比較することから、マーケットコンプ(コンパリソン)と呼ばれることもあります。

評価対象会社が非上場企業の場合、市場価格はありません。その価値の評価をする際、類似している上場企業の市場価格を参考にすることで、評価対象企業の市場価値を間接的に算定することができます。(マルチプルによる算定) また、上場企業であっても、様々な要因のため適正な株価が市場で形成されていないと判断された場合には、他の上場類似企業の株価を参照して適正な評価額を算定(マルチプルによる算定)しようとするケースもあります。 たとえば、取引量が少ない上場会社の場合、適正な株価と言えないケースが散見され、正しい判断ができないので、類似企業比準法を用いてマルチプル評価することが行われます。 TOB価格を算定する場合の評価対象会社に対する評価報告書では、類似企業比準方式(マルチプル)が用いられている事が多いです。

1.類似企業の選定
類似企業比準方式(マルチプル)は、公開会社の中から、対象会社に業種、規模、収益等が類似した類似企業を選択します。 類似会社の企業数は、先ず最初に10〜15社程度の類似企業を選択し、サービス、商品の類似性、規模の類似性、成長性の類似性、ビジネスモデルの類似性、財務構成・資本構成の類似性などを参考にして、その中から、類似性の高い会社の絞り込みを行って行きます。 絞り込みの結果、10社程度残る場合もありますし、1社しか残らない場合もあります。 1社しか残らなかった場合には、マーケット全体を反映したものとは言えなくなるため、類似企業比準方式そのものの採用を断念するのが一般的です。

2.類似企業の各種倍率の算出と評価対象企業の倍率の適用(マルチプル)
その公開会社(類似会社)の複数の比較要素を算出し、株価との比率を、対象会社に当てはめます。

算出する目的によって異なりますが、一般的には比較要素は、利益、純資産、配当等を選定します。
各要素のウェイトを1:1:1とした場合の計算式は下記の通りです。

対象会社の1株あたり株価評価額
= 類似企業株価 × (利益額の比準割合 + 純資産額の比準割合 + 配当金額の比準割合) × 1 / 3
・利益額の比準割合 = 対象会社の1株あたりの利益額 / 類似会社の1株あたりの利益額
・純資産額の比準割合 = 対象会社の1株あたりの純資産額 / 類似会社の1株あたりの純資産額
・配当金額の比準割合 = 対象会社の1株あたりの配当金額 / 類似会社の1株あたりの配当金額

類似企業の会計年度に変更があった場合や、類似企業の採用している会計方針と相違があった場合は 調整可能な範囲で調整を行ってから、比較を行ってください。

M&Aの時には、EV/EBITDAマルチプルが参考にされることが多いです。 上場時の株価算出などでは、PERマルチプルが参考にされることが多いです。

複数社の結果が出てきますが、評価目的、類似性の強弱など、様々な要因を加味して、て事業価値・株式価値を算定します。 最大値と最小値を異常値として除外しその残りの平均値を用いたり、中央値が用いられることが多いです。

3.調整
その後、「バリュエーション(売買価値評価)の方法」の所で説明した規模のディスカウントや流動性ディスカウント、コントロールプレミアムなどで最終的に価格を調整します。
類似企業比準法(マルチプル)は、東京証券取引所が定める株式公開時の入札下限価格算定における算定方法としても用いられています。

類似企業比較法(マルチプル)使用の注意点
  • ただし、クロスボーダーM&A(国際間のM&A)の場合は、減価償却の方法等、国によって異なる会計基準の影響を受けないように、指標にはEBITDAを選ぶなどの工夫が必要です。
  • 上場会社の類似会社が見当たらない場合は、無理に抽出するのはやめましょう。抽出した類似会社に納得性がないと、算定された株式価値への信頼性がなくなります。
  • 異常倍率がある場合は、当該類似会社の倍率を使用しない、または、平均値ではなく中央値を採用するなどの工夫が必要です。類似企業比較方法は平時のビジネスサイクルにおける倍率を求めるものなので、特殊要因がある場合の倍率は使用すべきではありません。
類似業種比準方式
類似業種比準方式とは?
財産評価基本通達に規程される 取引相場のない株式の評価方法です。

財産評価基本通達に規程される評価方法なので、具体的な計算方法が規定されていて、客観性があります。
しかし、税額計算を目的とした方法なので、企業評価には適しません。

(国税庁ホームページ「類似業種比準価額」引用)

1. 上記算式中の「A」、「Ⓑ」、「Ⓒ」、「Ⓓ」、「B」、「C」及び「D」は、それぞれ次による。

「A」= 類似業種の株価
「Ⓑ」= 評価会社の1株当たりの配当金額
「Ⓒ」= 評価会社の1株当たりの利益金額
「Ⓓ」= 評価会社の1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)
「B」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額
「C」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額
「D」= 課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)

(注)類似業種比準価額の計算に当たっては、B、C及びDの金額は183≪評価会社の1株当たりの配当金額等の計算≫により1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額として計算することに留意する。

2. 上記算式中の「0.7」は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社の株式を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社の株式を評価する場合には「0.5」とする。

(国税庁ホームページ「類似業種比準価額」引用)

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